オニールの成長株発掘法では大化け銘柄の7つの特徴「CAN-SLIM」に注目し投資を行うことを推奨しています。このページでは2つ目の特徴「A:年間利益の増加」について解説します。
目次
A:年間利益の増加
CAN-SLIMのAはAnnual Earnings Increases (=年間利益の増加)を指しています。AではEPS年間増加率やROEから、継続的に成長を続けている企業を見極める方法を述べています。
高成長株には継続的なEPS増加が重要
Cでは直近の収益性変化をみるため前年同期比のEPSに着目していました。高成長を遂げるためにはある程度長い期間が必要ですので、長期的な収益性変化を確認するため年間EPSが安定して増加していることも見てみましょう。オニールはEPSが3年連続上昇していることを高成長株の条件として挙げています。3年続けて安定した成長をしていることが望ましく、2年目で一旦減少しているような銘柄は景気の影響を受けやすく真の成長株とはみなせません。例外は認められません。また年間EPSの上昇幅としては、最低でも25%が条件としています。この項目は利益の増加が一過性のものでなく、企業の質が高いことを裏付ける証拠であるとオニールは述べています。
大化け銘柄のROEは最低17%以上
ROEとは自己資本比率のことです。ROEは「当期純利益÷自己資本」で計算されます。企業が持っている資本と、企業が当期稼ぎたした利益の比ですから、ROEが高いほど資本を効率的に活用し、利益を生み出せていることになります。つまりROEが高い銘柄というのは、効率的に利益を生み出し続ける好循環にあると言うことができます。オニールが研究した過去50年間の大化け銘柄では、最低でもROEが17%あったそうです。ROEの水準は業種によって異なります。製造設備や原材料を必要としないIT系やコンサルはROEが高い傾向にある一方で、製造業のROEは低くなる傾向は頭に入れておくとよいでしょう。
継続的な成長力をみる他の指標
この章ではほかにもキャッシュフロー、PER、EPS増加率の安定性について触れられていますが、ここでは企業の株価と収益率の関係をはかるPERのみご紹介します。
PERに対する考え方
PER(株価収益率)という指標をご存じですか?一般には企業の収益性や株価の適正水準を計る指標として利用されますが、オニールの研究結果は少し違う結論を導き出しています。
PER = 株価 ÷ EPS
株価の適正水準を調べることはできない
適正なPERは15倍程度といわれることが多いですが、高成長株では数十倍、数百倍のPERである株も多く存在します。PERが高い株は過大評価されているから買うべきではないと考えることもできますがCAN-SLIM投資の立場から見ると誤った考え方です。PER = 株価 ÷ EPSと定義されますが、高PERの理由は株価を過大評価しているためではなく、EPSを過小評価していると考えればPER数百倍の株であっても割高ではありません。株価が高値にあることが更なる高値を目指すための必須条件ですので、株価が割高であることを理由に購入を見送ることは誤りです。またPERが高いからと言って短絡的に空売りすることは絶対に避けなければいけません。株価青天井の成長株を空売りしている可能性があります(^_^;)。空売りをするときは他の指標を参考にしましょう。
PERで株価の伸びしろを調べる
株価の適正水準を調べるためにPERを使うことはできません。一方で株価の天井目安を調べることに使う方法があります。例えば24か月後までの伸びしろの目安は次式で求めることができます。
(24か月後の株価) = (1+1.1)×(初ブレイク時のPER)×(24か月後の予想EPS)
初めてピボットラインをブレイクアウトした時点の株価を基準として将来の株価を予想します。係数部分の1.1は書籍中では1~1.3の数字を使うとあいまいな表現がされていますが、私は安全側で確認したいので1~1.1程度を利用しています。
PER=株価÷EPSであることから、次のように記述することもできます。
(24か月後の株価) =(1+1.1) (初ブレイク時の株価)×(24か月後の予想EPS)÷(初ブレイク時のEPS)
この形だとオニールの意図が分かりやすいですね。EPS増加率の2倍程度が株価の伸びしろというわけです。例えば2年後に利益が50%増えている銘柄では、株価2倍程度が天井になると見込めます。
まとめ
CAN-SLIM銘柄 必須要素
- 年間EPS増加率が3年連続で増加していること
- 年間EPS増加率は25%以上であること
- ROEが17%以上であること
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