C:急成長している企業に投資しよう!

オニールの成長株発掘法では大化け銘柄の7つの特徴「CAN-SLIM」に注目し投資を行うことを推奨しています。このページでは1つ目の特徴「C:直近四半期利益の増加」について解説します。

C:直近四半期の利益

CAN-SLIMのCはCurent Quarterly Earning(=直近四半期の利益)を指しています。CではEPSや売上高の推移から急速に成長し始めた企業を見つけ出すための方法について述べられています。

企業の価値は稼ぐ力

株価は企業の価値を反映します。ところで企業の価値って何でしょうか。近年は様々な基準で企業の価値を見ています。社会の役に立つ、環境問題に真剣に取り組む、従業員が幸せに働ける、etc.などを実現できている企業は価値があるといえますよね。しかし投資家の視点でみると、投資した資金を使って効率よくお金を稼いでくれる企業ほど価値があることになります。お金が増えないのに投資するなんてただの寄付ですからね(^_^;)。

株主から見た稼ぐ力はEPSに現れる

企業の稼ぐ力を見るための指標は様々ありますが、オニールはEPSを使用することを奨めています。EPSとは一株当たり利益(earnings per share)であり、当期純利益を発行済み株式数で割った値です。

EPS = 当期純利益 ÷ 発行済み株式数

利益をはかる指標として経常利益や純利益をみる方も多いと思いますが、なぜEPSを奨めているのでしょうか。それは株を購入したからといって、一株主が企業すべてを保有しているわけではないからです。株主の権利は保有株が発行済み株式数に占める割合だけです。

例えば2020年の純利益が100億円、2021年の純利益が200億円と増えていたとしても、発行株数が1000万株→4000万株となっていた場合、一株当たりの利益(=EPS)は1000円→500円と減少することになります。

純利益発行株数一株利益(EPS)
2020100億円1000万株1000円
2021200億円4000万株500円

「自分に割り与えられた利益はいくらか」を確認するためにはEPSを確認する必要があります。 新規株式の発行によって株価が大きく下がる場面を目にすることがあると思いますが、発行済み株式数が増加したことにより一株当たりの利益(=EPS)が減少することが原因です。反対に自社株買いが行われると発行済み株式数が減少するため、EPSが増加し株価が上がる傾向にあります。

EPSを使って大化け銘柄を探す方法

大化け銘柄の条件として、前年同期比でEPSが25%以上上昇していることを挙げています。前年同期と比べるのは季節要因を排除するためです。前四半期と比較してしまうと、季節性商品を扱う企業を抽出してしまう可能性があります。またEPSは過去2年半程度の間に加速的に伸びていることも見分けるポイントと述べています。かなり厳しい条件にも見えますが、日本の株式市場に上場する3000社以上から探せば候補となる企業は多くあります。

また大化け銘柄では、株価が大きく上昇し始める前の10四半期の間にEPSが加速的に伸びていると述べています。すなわちEPSが伸びている段階では、株価は企業の成長を完全には織り込んでいないということです。決算発表でEPSが増加したことを確認しても焦って購入せず、チャート形状から適切なエントリータイミングを見極めて購入することが重要だということです。また現在の株価は将来の企業業績を織り込んでいると言われますが、大化け銘柄には当てはまらないことを示しています。つまり決算発表後の急騰に無理に乗らずに、チャートからタイミングを見極めてエントリーすることが大切ということでしょう。

売上高の増加が伴っていること

高成長を実現は利益増加だけでは困難です。利益の上限は売上高ですからね。売上高が増加しなければ利益が継続的に増加することはありません。売上高の増加を伴わないEPSの上昇要因は様々あります。リストラにより人件費が減ったり、広告を減らして販管費を抑えることで利益率(ROE)が改善しEPSは増加します。利益率の改善は大切なことですが限界があります。持続的な高成長を実現するため、EPSと売上高の増加を一緒に確認するようにしましょう。

利益増加率の急上昇は注目サイン

EPS増加率が25%を超えて成長を始めた企業は注目してよく調査しましょう。近いうちに株価が高騰を始める可能性があります。EPS年間増加率が15%程度であった企業の前年同期比EPS増加率が25%に上がった瞬間が初動となります。スクリーニングの際に注意してみてみましょう。

1度きりの特別な損益は無視する

一時的な臨時収入で収益でEPSが増加した場合、臨時収入分は差し引いてEPSを見る必要があると述べています。例えば装置メーカーが保有する土地を売却して利益を得た場合、この利益はEPSの計算から差し引く必要があります。装置メーカーにとって土地の売却による利益は本業の成長と関係ありませんからね。EPSの増加が企業の成長とリンクしているかということを意識するようにしましょう。一時的な損益の有無は企業の決算書類を見れば確認することができます。

勢いのある業種であること

大化け銘柄が出現するような活気のある業界では、複数の高成長企業があるはずだとオニールは述べています。通常ならば成長が見込まれる市場は、多くの企業の目に留まり参入が増えるはずだからです。1社独占状態を保つことが高成長の源泉である場合もありますが、新規参入により独占状態が崩壊した途端に、成長に陰りが出る可能性も考慮する必要があるでしょう。競合が多いことを悲観する必要はなく、勢いのある業界の中で最も輝いている銘柄を選ぶことが重要です。

失速した大化け銘柄の見分け方

大化け銘柄でもいつかは業績が伸び悩み失速する場面が出てきます。オニールは失速の目安として2四半期連続で増加率が減少したこととしています。増加率の減少幅に関しては、前回比66%以上(例:+50%→+15%)することとしています。1四半期のみの一時的な失速であれば再び元の成長軌道に乗ることもできますが、連続減少で失速してしまうと元の成長軌道に乗ることは極めて困難です。

EPSの代わりに経常利益がおすすめ

成長の指標となるEPS変化率を使って株のスクリーニングを行いところですが、証券会社のツールでは見ることができません(^_^;)。またEPSと直接相関があるのは純利益は、特別損益を含むため取り扱いが面倒です。代わりに経常利益変化率を使うことでスクリーニングツールを使って成長著しい企業を探し出すことができます。

EPSが増加していても株価は天井を付ける

高いEPS増加率を維持している企業が、成長力に優れ企業価値が向上している素晴らしいことは疑いようがありません。しかしEPSが増加しているからといって、株価が無限に上昇を続ける訳ではありません。たとえEPS増加率が100%を超える銘柄であっても、強気相場の終盤では株価が頭打ちになり失速し始めます。企業が成長を続けている状況、強気相場の途中でも株価が天井を付けることがあることを忘れないようにしましょう。状況を飲み込めず保有を続けたくなりますが、正しいのはいつもチャートの動きです(^_^;)。

高成長企業だけに投資できるのは個人投資家の特権

利益の増加率が25%を超える驚異的な企業の数は多くありません。時期にもよりますが平均して市場全体の3%にも満たないでしょう。数十億~数兆円の資金を運用する機関投資家たちは希少な存在である高成長企業のみに投資することはできません。彼らが全資金を高成長企業に投じたら市場が大きく歪んでしまいます(^_^;)。機関投資家たちは高成長企業だけではなく、成長率の緩慢な成熟した企業にも仕方なく投資しています。一方我々個人投資家の多くは数百万円、多くても数億円程度の資金しかありません。機関投資家のように市場の方向性を決める資金力はありませんが、最高の銘柄だけを選んで投資することができますCAN-SLIM投資は個人投資家の利点を最大限活かすことのできる投資方法です。

C:Current Quarterly Earningsのまとめ

CAN-SLIM銘柄 必須要素

  • 前年同期比でEPSが25%以上上昇していること
  • 売上高が25%以上増加しているか、直近3か月の売上増加率が加速していること

CAN-SLIM銘柄 準必須要素

  • 直近四半期の当期利益が最高益に近い水準にあること
  • 勢いのある業界で最も輝いている銘柄を選ぶこと
  • 失速した銘柄の判断基準は2期連続での停滞、2/3以上の失速

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